大会・部門別研究会
第40回大会|大会実行委員会企画シンポジウム
組織文化をめぐる知と実践:
学術と実務の対話から考える「組織文化」の現在地と今後のあるべき姿
企画趣旨:
近年、組織による不祥事が相次いで報道されています。そうした事例を横断的に見ると、その背景には「組織文化(企業文化、企業カルチャー)」の存在が関与していることが、多くの従業員の証言や第三者委員会の報告などから明らかになっています。一方で、「組織文化」は、1980年代に『エクセレント・カンパニー』をはじめとする議論の中で、組織の活力や高いパフォーマンスを生み出す源泉として大きな注目を集めました。しかしその後、産業・組織心理学や経営学においては、十分な検討がなされてきたとは言い難いのが現状です。
本シンポジウムでは、改めて「組織文化」という概念に注目します。まず、組織文化の歴史的背景や理論モデルなど、学術的に蓄積されてきた知見について、経営学の分野で長年にわたり組織文化の研究に取り組まれてきた北居明先生をお迎えし、その概念や理論、研究動向についてご講演いただきます。続いて、心理学の立場から吉原克枝先生にご登壇いただき、組織文化論を踏まえた新しい「企業カルチャー(組織文化)」の測定やモデル化について、最新の研究成果をご発表いただきます。さらに実務の視点からは、日本航空株式会社(JAL)の菅優一郎氏より、同社が組織破綻を経験した前後において、組織文化がどのように変遷し、組織にどのような影響を与えたのかについて、現場でのご経験をもとにお話しいただきます。
これらの話題提供を踏まえ、指定討論では、グループ・ダイナミックス論に精通されている山口裕幸先生と、「カルチャー変革」の現場で豊富な経験を持つUnipos株式会社の松島稔氏より、話題提供者へのコメントや示唆をいただきます。そして参加者の皆さまとともに、「組織文化」に関わる今後の研究の方向性や、実務的な示唆・課題について理解を深めていくことを目指します。
企画:
産業・組織心理学第40回大会実行委員会
司会:
池田 浩(九州大学)
話題提供者:
北居 明(甲南大学): 組織文化論の展開と課題
吉原 克枝(福岡工業大学短期大学部):企業カルチャーの測定とモデル化の試み
菅 優一郎(日本航空株式会社): 破綻前後の組織カルチャーの変遷および課題感
指定討論
松島 稔(Unipos株式会社)
山口 裕幸(京都橘大学、九州大学名誉教授)