会長挨拶

 産業・組織心理学会は,設立以来30年を超えることとなりました。「設立の趣旨」には,「情報化社会の進展とグローバリゼーションの本格化に臨み,一層の質的飛躍を求める挑戦に遭遇しております」とあります。実は,本学会の設立総会(1985年11月)で配布された「産業・組織心理学会設立にあたり」では,この後に次のような刺激的な文章が続きます。
 『この挑戦は,産業文明の根幹である機能集団をめぐる諸々の人間問題を研究するために,私たちが立脚してきた前提そのものに対して根源的な問いを投げかけようとしています。』
 この「前提に対する根源的な問い」が「基本的問題」であり,目まぐるしく変化する社会環境下で「いかに適応的に働き,生活するかの問い」が「当面する問題」です。これらを解決していくことが産業・組織心理学会の使命だと考えています。そして,この解決のために,本学会では4部門-人事部門,組織行動部門,作業部門,市場部門(現在の消費者行動部門)-からアプローチしています。
 本学会の特徴のひとつは,研究者と実務家の有機的連帯です。そのため,研究者のみならず企業や行政等の実務家の方々も多く参加頂いています。これをさらに推し進めるために,実務家の方にも学会機関誌『産業・組織心理学研究』に積極的に投稿していただこうと,投稿規程の改定を検討しているところです。
 また,常任理事会を中心に以前より検討が続けられてきました,優秀学会発表賞の制度が2016年度からスタートすることになりました。研究発表の場である年次大会において,若手研究者の発表のうちから,優れた研究成果の発表に賞を贈るものです。これまでも若手研究者への研究活動支援を行ってきましたが,これを拡張し,産業・組織心理学領域の若手研究者を増やし,そのモティベーションを高める機会を提供しようと考えています。
 そして,年次大会,部門別研究会は会員以外にも広く開放し,研究知見の社会還元に努めてきました。特に,年4回開催される部門別研究会には,近年とても多くの方々にご参加頂いています。この継続されている部門別研究会での意見交換も本学会の特徴のひとつだと思います。
 人間の可能性を基盤とした個人や集団の成長,健康的かつ生きがいのある組織形成,文化的生活者としての消費条件などをともに探求し,産業・組織心理学への関心や期待をより一層高めていこうではありませんか。これからもどうぞよろしくお願いします。

2016年4月 第11期会長 細田 聡 (大原記念労働科学研究所 / 関東学院大学)

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