産業・組織心理学会とは

会長挨拶

第14期会長 竹内倫和

 産業・組織心理学会は設立以降、多くの先生方のご尽力と会員の皆様のご支援によって今日の伝統ある学会へと発展してきましたが、この度の選挙におきまして、この栄えある学会の14期会長にご選出頂き、大変光栄に存じます。

 産業・組織心理学会は1985年に発足し、今年はちょうど学会設立40年の節目の年にあたります。学会設立時より、産業・組織心理学会は専門領域としての多様性を有してきました。具体的には、産業・組織心理学を「人事」、「組織行動」、「作業」、「消費者行動」の4部門を包含するものとして位置づけ、組織や個人にかかわる多くの社会的課題の解決に資する知識を創造、共有してきました。そのような学会としての価値が評価されて、この40年の間に法人会員を含め会員数1100名を超える学会へと大きく成長してきたということができます。

 本学会が果たすべき大きな役割の1つは、産業・組織心理学領域における「新たな知の共創」にあると考えています。本学会では、専門領域の多様性ゆえ、心理学を中心にしながらも経営学や商学、社会学、看護学、経済学、工学など多岐にわたる学問的背景をもつ研究者が集まり議論がなされています。また、このような研究者間ばかりでなく、研究者と実務家との積極的な交流をもとに、今日的な現実課題への対応に向けた知識の創造がなされてきています。今後、このような「新たな知の共創」をさらに促進するにあたり、以下の大きく3つの活動に真摯に取り組んでいくことが重要であると考えております。

 第1に、研究成果の発信機会の提供です。本学会の機関誌として『産業・組織心理学研究』を発行し、専門的な学術論文を掲載するとともに、実務的意義の高い論文を掲載するための実践報告部門を設けて幅広い論文の掲載を可能にしています。また、「学会大会(年次大会)」が年に1回開催され、各種シンポジウムに加えて、数多くの先進的な研究の報告がなされています。今後は、国際学会の大会情報提供などを行っていくことも必要と考えています。

 第2に、研究能力の向上及び研究者育成の支援です。産業・組織心理学分野における若手研究者及び大学院生の研究活動促進を目的に、研究費の一部を支援する「JAIOP研究支援制度」を設けています。また、「研究力向上セミナー」を開催し、研究活動を行っていく上で必要となるスキルや知識の習得に資する機会の提供を行っています。年に4回開催される「部門別研究会」では、人事、組織行動、作業、消費者行動の各部門における最新のテーマについての話題提供や議論がなされています。

 第3に、研究者あるいは実務家の交流機会の提供です。上記の「学会大会」や「部門別研究会」において研究者及び実務家の間での研究・実践事例を通じた交流機会を積極的に作り出しています。また、「JAIOPニュース」では学会に関連する各種記事やコメントを配信する中で、会員の交流促進を図っております。今後は、関連する諸学会との共催企画などに取り組んでいくことも必要であると思っております。

 新たな40年に向けて産業・組織心理学領域の専門学会として会員及び社会の皆様の期待に応えられるよう学会運営を行っていく所存です。今後とも変わらぬご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

2025年4月
第14期会長 竹内倫和
(学習院大学経済学部経営学科)

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